CONCEPT
敷地は熊本県の小さな温泉街。良質の温泉をもつこの土地はかつて宿場町として栄えたが、現在は九州自動車道・国道が縦断する、熊本市北部のベッドタウン。敷地周辺は合志川が流れ、緑溢れるのどかな田舎。その場所に地元の工務店が200~250㎡程度に分割した土地を24区画つくり、「温泉付住宅団地」として建築条件付住宅地を売り出した、その「3号地」が本敷地となる。 この同じマスが連なる「住宅団地」というありふれた敷地条件から、この土地における普遍性を見つけられないものかと考えた。そこで、全面道路に面して平入の切妻屋根をかけ、同様の形式が連続することを前提とした町屋の1断片としてこの住戸を位置づけた。東面には全面に縁側を配置し、夏には合志川から上がる花火を見ながら納涼を楽しむことができるように大きく間口を開いた。また部屋を仕切る障子、また内外を仕切る木建具を全面引き込みにすることで、東西方向に抜ける内外連続性を生み出した。こららは24区画どの敷地も持つ住宅団地のポテンシャルであり、それを素直に享受した。 かつての宿場町のような街並みが生まれることを期待している。